気発生器と応用:Studies of Generators of Torsion Field ("<i>Qi"</i> or "<i>Ki" </i>)

気・トーションフィールドの探求と応用

1.  気の探究と応用(324pages) by 青木孝志

  主な内容 はじめに

1980年代末期から1990年代初期にかけて「気」の科学的研究をすべきであるという機運が日本の科学界で高まっていた。やがて,その関連学会が設立され,多くの研究者が集まるようになった。会場は熱気にあふれた。その頃,筆者は気の工業的応用の研究をすべきであるという考えを強く抱くようになっていた。 その時から約30年経過している。この辺で,筆者の研究してきたことの概略をまとめて情報提供しておきたい。それは,知人達から幾度となく促されたことにもよるし,未発表のこともかなり貯まってきているからでもあるが,なによりも,この気の応用分野の研究へいざないたいという気持ちと同時に,多くの研究者によりもっと発展させたい気持ちが強いからである。

本書では,筆者が進めてきた気の工学的探求とその応用について将来的展望も含めて述べる。気(Ki/Qi)は,ロシアなどの外国では,トーションフィールド(ねじれ場),アキシオンフィールド,その他,さまざまな名前で呼ばれているが,外国にも,そういった気のような概念があり,研究されていたことを知ったのは,かなり後のことであった。これは,ロシアで始まったトーションフィールドの研究状況が,当時の鉄のカーテンに閉ざされ,なかなか西側に漏れてこなかったせいでもある。従って,外国の事情を知らずに,筆者独自の方法で研究していたが,それは,それでメリットも大きかったと思う。

人体内部にある気は内気,人体から外部に放出された気は外気と呼ばれる。外気の正体を探るために1990年代に盛んに行われた研究は,磁気センサ・音波センサ・赤外線センサ・光電子増倍管などを用いた測定器により気功師の外気を測定するという方法であった。気功師が発気すると,その身体から磁場,遠赤外線,バイオフォトンおよび超低周波音波が放出されるということが次々と報告された。しかしながら,これらの物理量は外気ではない。こうした計測にとどまっていては,気の産業応用の道は開けない。先ず,マシーンによる外気発生器を作らないと道は開けてこないと筆者は考えていた。

外気発生器開発の必要性のもう一つの根拠には,産業応用以外の点にある。気功研究や気功治療には,真に能力のある気功師の協力が不可欠であることは言うまでもない。しかし,有能な気功師が得られたとしても,厳しくコントロールされて見張られている実験条件下での協力は,気功師というなま身の人体であるだけに,いつ何どきでも何回でも100%の能力が自在に発揮できるわけではない。彼らは十分な力が出せずに失敗することもあることがよく知られている。体調や精神的状況などによるものであろう。そこで気功師ではなく機械的な装置を用いて外気を発生できるようにすれば,それは疲れ知らずに働いてくれるから気功研究や気功治療が行い易くなると筆者は考えた。

当時,気功師の外気の研究をされていたT教授(医学教授・博士・学長)が,なま身の気功師の協力を得て実験するときの,上記のようなさまざまな不都合さなどのため,人工の気功師,すなわち外気発生装置が欲しいと言われたことがあり,筆者としては前々から開発中であったので,その開発に鋭意取り組んだのである。

外気発生器が完成するとT教授は,後述するように,それを用いて成果を上げることになる。それは動物実験において外気発生器の外気と気功師の外気の作用効果の比較検討実験であった。その結果は,外気発生器の外気と気功師外気の動物への作用効果(脳波・松果体自発放電)は同じであることが分かったのである。また,外気発生器は外気の強度が可変であるので,いろいろと強度を変えることにより,強度に依存するさまざまな現象を引き起こすことができることも示された。 因みに,T教授は,松果体の研究を発展させて気功師と被験者における脳波の同調現象のメカニズムに関する興味深い知見をもたらしているが,その論文は,日本良導絡自律神経学会という学会誌に掲載されている。

さて,この装置から発生する人工外気を EQR (emission from quartz resonance) と称するが,EQRを数10人以上の被験者に照射した結果,敏感な人では圧感,温感,しびれ感,風の流動感,蟻走感(蟻が皮膚の上を這う感じ),まどろみ感などの感覚のうちのひとつまたは幾つかが起き,人によっては体力回復現象,沈痛効果などが起きた。ただし労宮穴や印堂穴などの経穴を除外すれば生体の不健康部位が反応しやすく健康度の高い人には反応し難い傾向があった。これらのことは気功師外気によっても同様に起こることである。

EQR照射によってさまざまな経絡の自律神経興奮レベルを調整できることを説明した(第5章)。その治療例として一般例,掌蹠膿疱症および不全閉尿の例を挙げて説明した。 EQR を動物に照射するとマウスのマクロファージ貪食能の増加,また上述の家兎の脳波の変化,家鬼の松果体細胞の放電の抑制現象etc.が起きた。このことも気功師の外気の作用効果によく似ている。気功師外気がさまざまな治療効果を起こすことが報告されている。そこでEQRについても治療効果を,動物を使って調べてみた。この研究には多くの研究者が参加した。

マウスおよびラットの病態モデルを使ってEQRを照射し,体力,腫瘍および炎症に与える効果を検討したのである。その結果Sarcoma 180腫瘍細胞を背部皮下に植え付けたマウスに対する EQR 照射は腫瘍細胞増殖を抑制する傾向を強く示した。ラットの後肢踵皮下にカラゲニンを投与して惹起させた炎症はEQR照射により著明に浮腫抑制が起こった。ラットの adiuvant関節炎モデルにおいて,EQR照射は後肢腫脹と疼痛の軽減は認められなかったが,前肢腫脹,虹彩炎,耳介結節,亀頭炎の炎症病変発現の遅延や随伴病変が消失している個体が認められた。

以上の結果からEQRは,おそらく,炎症系,すなわち,広義での免疫系に働いて有効性を発現するものと推定された(4章)。これらのことはEQR装置が治療に対し有望であることを示唆している。 しかし問題がある。それはこの機械が気を扱うので東洋医学的機械であるという点である。このことを理解しないで扱うのは危険が伴うため東洋医又は東洋医学の研究者の参加と研究が必要である。このことは主に第5章に述べた。

現用医療の大部分は西洋医学を基盤としている。これは驚異的な進歩をとげ人類に役立ってきた一方で,様々な問題点をはらんでいる。例えば,最新の医療検査設備により検査して何も疾患が見つからず,西洋医学的には問題がなくても,依然として症状を訴えるケースはしばしば存在する。また,さまざまな薬害や弊害をもたらしているし,多くのいわゆる難病に対しては良い対策がない。

西洋医学的手法の基本は人体を各器官の部分部分にわけ,さらにそれを細分化して分析的に解明しようとする点が特徴である。このことも勿論重要であるが,東洋医学的手法,即ち各部分よりも身体全体の調和的機能とか,生きた身体全体の働きを円滑に保つための統合的システムの回復治療という思想を付加する必要があろう。こうした統合的システムという点に留意して扱うべき機械なのである。

第2章に外気発生器の構造について詳述し,研究者が製作可能なようにするためのノウハウ的な留意点も細かに公表した。しかし,これを製作し使用するにあたっては,十分な注意が必要であり使用者の責任になる。外気の強度はボリウムで可変であり,気功師の外気よりかなり強い外気が出るので,過剰照射は避けなければならないし,なにより「気・血・水」を重んじる東洋医学を学ばなければならないであろう。東洋医学的な扱いにより著効が得られた一つの例を第3章に紹介しておくので,先ずは,ここを外気発生器の特徴を知る上での発端にするのが良いと思う。

水に気功師が外気を与えると水に変化が起こると言われている。本書では,開発した外気発生器の外気による水・アルコール飲料などの非生物への照射の影響について実験した結果,NMR(核磁気共鳴)スペクトルおよび粘性係数に興味深い変化が現れたことを報告する(第6章)。

気発生方法には多様性がある。これについては,第2章および第7章〜11章において筆者が試みたさまざまな方法:(a)水晶単結晶のピエゾ電気共振,(b)物質に電場を印加する,(c)トロイダルコアの物質に磁場を印加する,(c)無誘導巻きコイルを使用する,(d)光線で誘導する,(e)メカニカルな回転/振動を用いる,(f)光ファイバーコイルを用いる方法,および(g)自然放出に基づく方法について述べている。

気発生器から発生する気の強度を高めるには,反射収束筒,場合によっては磁場の助けを得る必要についても詳しく述べた。これは気の基礎研究(第13章)に基づいて考案されたものである。

ところで,無誘導コイルでは干渉により磁場Bが相殺され(±B=0となる),その空間には何も存在しないとされる。しかし,磁場Bは無くなっても,別の実体が存在する。それは一種の気である。その実験的証拠についても述べる(第8章)。無誘導効果の応用面も考えるべきことを示唆している。

ヒーリングの場合は,人体と親和性のある気を発生させる必要がある。そのためには,気を発生させる源である物質,周波数,気の強度などを選ぶことと,気の性質を調整するためのモデイファイヤー(調整器/調合器)を使うことを提案している。気発生器から発生する気には発生方式によっても,それぞれの特徴がある。ヒーリングの場合は数種類用意しておいて対処するとよい。

第13章では気の物理的性質について述べた。これらの知見は2値比較法という手法で得られたものである。気に関する電場・磁場・光などの影響に対するさまざまな実験を通して得た反射・透過特性,遮蔽,偏向/搬送,集積,誘導放出などについての知見を記述した。

気の場は,筆者の実験結果や外国の気発生装置に関する事例も深読みすれば,例えば,未来技術的なエネルギーや浮揚などのさまざまな応用面に発展する可能性を秘めている研究分野であることを予測する。それらのことは最終章である第14章に述べた。気の応用工学を発展・展開していくと、なぜ未来工学の可能性や重力浮揚ビークルの夢と結びついてくるのか,それは必然であり突飛なはなしではない。そのことを説明している。

本書は,気工学的医療のほかに,こうした未来技術として多くの可能性を秘めた気工学分野の研究への取り組みを促進するため,そのきっかけを提供することと,更に進展していくことを願って著したものである。従来,気の科学に関する書籍が何冊も出版されたが,それらは一般の人たちや文科系の人たちに向けて平易に書かれたものであった。本書もそうした人向けに平易に書き直すことは可能であるが,それでは理科系・工学系・医系の人達や研究者たちは不満足を感じるだろうし,提案にもならず,この分野の発展に資することはできない。そのため本書は少々堅苦しい書き方になっている。

なお,外国のトーションフィールドという用語は様々な顔をもち説明が難しいが,本書ではごく単純に「気」または「気」の場(Ki-field)という意味に使っている。
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